ファル・メイト インタビュー記事(2)
ファル・メイト インタビュー記事 その2
目次
派遣について
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派遣について
年ごとに11月なのか、12月なのか、10月なのかは微妙なタイミングなんですけど、インフルエンザとかが流行り出す季節から、花粉症終了までの5月くらいまでが、この業界、繁忙期といわれていまして、ここはかなり求人が増えます。
それを過ぎると、科目にもよるんですけども、6月から10月くらいまでは比較的閑散期で、求人が少ない時期になります。
閑散期のときに、こちらから「派遣求人ありますか?」と人事の方に連絡すると、「あるわけないじゃない」みたいな、すごい冷たく切られたのに、11月くらいに「すみません、派遣で動ける方いますか?」みたいな、急に丁寧にきたりとかすることもあったりして。
対応、はっきりしますね。
激しいなと思いながら。そういうこともあったりします。
先ほど、「科目によって」とおっしゃったと思うんですけど、たとえば僕のイメージですと、小児科とか眼科は、それこそインフルエンザとか花粉症っていう影響をすごく、もろに受けやすくて、特に求人数が増えるのかなと思ったんですけど。
そうですね。そのあたりは増えますね。あとは、皮膚科とかだと比較的夏場も求人は多かったりしますね。あとは、総合病院の門前とかだと、基本は年中変わらず、というところはあるんですけど、クリニックの門前だと科目の影響がもろに出る、というところです。
そうなると、希望しても働けないときもありますよね。需要がなかったらしょうがないですものね。
そうですね。それをどうにかするのが仕事なので対応はさせて頂きます。ただ、そういう場合は薬剤師の方に、まずはたとえば、希望する条件・エリアで一通り全部あたらせていただいて、「今の時期は求人がない」と正直にお話させていただいた上で、ちょっと条件緩和できないかという形で、お互いにちょっと歩み寄りながら、どうにかして働けるように努めていくような形になる事も多いです。
わかりました。
では次ですね。参考に、過去の最高時給について教えて頂けますか?時給が高騰している地域は地方が多いと思うんですけど、過去の最高時給は幾らくらいでしょうか?
時給5,100円、住居付の求人がありましたね。これは千葉の木更津でした。あとは、最近は求人を頂いていないんですけど、過去にもらったところですと、鹿児島のほうと岩手で、最大で時給5,500円くらいまで出せる求人を頂いたことはあります。
関東で平均すると、どのくらいですか。時給3,000円くらいでしょうか?
そうですね。平均すると、時給3,000円いけば良いか、くらいですかね。高いところは高いんですけれども。やはり、人が集まるエリアはどうしても高時給出ない傾向にあるので、3,000円くらいですかね、平均すると。
大阪も同じような状況ですか?
そうですね。関東の、都内でもたまに時給4,000円くらいのものもあったりするので、それも薬局の状況によるので、一概にはもちろん言えないですけれど。
やっぱり急募求人のほうが高くなります?
そうですね。あとは、都内とかであっても、駅からバスで2、30分だとか。そういうちょっと不便なエリアとかだと、時給も高めに相談できたりはするので、そういうところは出やすいでしょうか。ただ、高時給もらえるところはやはり急募がほとんどですね。
急募になる理由ってどういったことが多いですか、薬局さんとしては?
基本的には急な退職と、もともと派遣を入れる予定だった方のキャンセルです。
キャンセル?
キャンセルもあるんです。例えば他社から派遣が決まっていて、勤務開始の3日前にキャンセルの連絡があっただとか。あとは、勤務開始して2、3日で来なくなったとか。
そういうのもあるんですか。
そういうのもあるので。
それは困りますね。
そういうときにはどうしても、薬剤師がいない事には困るからという話にはなりますね。
できないですものね。
あと、1人薬剤師の店舗というのがあるんですけど、そういうところだと特に、薬剤師がいないとお店開けれませんからね。ですから、そういうところでキャンセル、退職が急に出ると結構切羽詰まってしまうので、そういう時は比較的、時給が高くもらえる傾向があります。
わかりました。次は、主に育児に関連してなんですが、育児ブランクがあっても派遣先は見つかるんでしょうか?
こちらはもう、ご相談させてはいただくんですけど、基本的には派遣はやはり即戦力が求められますので。弊社として調剤歴最低2年、3年以上で、かつブランク1年未満というのを原則、ラインというか線引きをさせて頂いてはいるんですけれども、ブランクのある方なども含めて、相談は可能です。
こちらは、薬剤師の方によるんですけど、先方にもそのブランクのこともお話させていただいた上で、それまでの経験も含めてお話をして、お受け入れしていただけるところもあります。
あとはブランクが2年、3年くらいある方でも、直接お会いして、話もしてみて、前職の経験も伺ってそういったところも含めて、この方は大丈夫だな、という方はご紹介することもあります。そういった方は、大体うまくやってくれる事が多いですね。
そうなんですか。わかるものなんですね、そういうのは。
完璧にとは行きませんが、その人のお人柄や経験なども踏まえてこの薬局であればうまくいきそうだな、というのは考えています。あとは、基本的には総合病院の門前で、枚数何百枚のところで数年間やっていた方とか。そういう背景も踏まえて、この店舗であれば大丈夫かなという判断をして、ご紹介する事もあります。
ただ、経験が無い方の場合、クレームに繋がる場合もございますので最新の注意を払って対応致します。
クレームの話が出ましたけど、派遣先から多いクレームって、やっぱり人間的なところなんですか?
そうですね。クレームに関してはスキルか人間的なところか、どちらが多いですね。スキルはやはり、ブランクなどもそうですけど、投薬が遅いとか、全然最近の薬がわかっていないだとか、そういうところが多いです。
あと人間的なところでいいますと、言っていることは正しくても、派遣の場合は対患者様に投薬をする機会が多いので、そこで患者様に対する印象、しゃべり方とか、そういうところで態度が悪い方とかだとクレームを頂く事もあります。また、そういう患者様に関したところもあれば、単純に現場の方と合う、合わないという話もあります。
あとは、薬の間違いとか、薬の数の間違いだとか、そういうところで。そういう場合は基本的には、企業側と薬剤師、派遣スタッフ双方から話を聞いて対応するようにしています。そういうクレームもまれにありますね。
なるほど。
次の質問なのですが、育児中のママ薬剤師さんから人気のある職場についての条件的なものとか、教えていただきたいんですけれども。
託児所が近くにある求人のリクエストというのは、預け先が決まっていないお子さんをお持ちの方からは、よく言われますね。
薬剤師の方もやっぱりブランクを嫌がる傾向にはあるんです。そういうところで、もし託児所など子供の預け先が近くにある薬局だったら働けるんですけど、みたいなのがまず1つですね。
もう1つが、どうしても勤務時間が短めを希望される薬剤師さんは多いです。朝お子さんを預けに行って、また夜お子さんを連れて帰りに行かなきゃいけないので、そこで、開始時刻は少し遅めで、終わりが早めにという求人のリクエストが多いです。ですので、こういう方の場合、どちらかというと時給云々とかはあまり話に出なかったりします。
でも、まだ託児所あるところって少ないですよね、薬局さんだと?
薬局についているというのはほとんどないです。そもそも規模が小さいので、そこに託児所つけても預けるのもその人くらいしかいないだろう、という風になってしまうので。
そうすると、病院ですか、やっぱり?
そうですね。ただ病院の場合は、派遣は難しいのが現状です。なのでパートで固定的に働けるのであれば、託児所希望の方にはやはり病院をお勧めはします。
あとは、かなり数が少ないんですけれど、企業内診療所のスタッフとして薬剤師の人を募集しているところもまれにあるんです。そういうところだと、企業自体の規模が大きいので、その建物内に託児所がついていたりするので、オススメする事もあります。
ただ企業内診療所は求人もほとんど出てこないですし、倍率めちゃくちゃ高いです。
企業薬剤師は人気あります、やっぱり?
ありますね。最近でも一度、都内で企業の薬剤師求人を頂いたことがあるんですけど、そこは求人をいただいた当日の2時間後くらいに企業の方に電話をしたら、もう既に10件近く、いろんなところから応募があって、「今、コンペ状態です」という回答をいただいて。企業からの求人はレアで、すごい人気です。
そうですか。やはり子どもの預け先で困っている方多いですよね。「どうしよう、預けられたら働けるのに」っていうことですもんね、結局。
そうですね、そこが改善できればいいんですがなかなか難しいです。
次ですけども、派遣での就業を希望される場合、どのくらいの件数を紹介されるのかなと思ったんですけれども。
5件から10件くらいが多いところでしょうか。ただ、これも希望が単発かレギュラーかにもよりますね。単発派遣を希望する方ですと、ある程度希望を聞いて、該当するものがあればたくさんお送りするようにはしています。その求人の中で一番、勤務時間だとか時給だとか、見て頂いて本人に決定してもらいたいというのがありますので、ご紹介する求人数は比較的多くなります。
レギュラーの方ですと、基本的には5件くらいにおさまることが多いでしょうか。ご希望などをしっかり把握した上で、それに合ったところだけ紹介していくような形です。
その最初の紹介で、「もうちょっと他に求人ないですか?」っていう事もあります?
多々あります。
多々ありますか。
はい。あとは、レギュラーで2、3カ月で契約している方とかでも、次の更新先の紹介依頼はありますね。基本は今のところでも良いんですけど、他に良いところがあったらそっちに移りたいから紹介してくださいっていう希望があったりとか、いろいろあります。
わかりました。
次ですけれども、病院、調剤薬局、ドラッグストア、派遣薬剤師さんを求める割合など教えて頂けますか?
それはもう、病院とドラッグストアが極端に割合が低いです。
これは、そもそも病院については数自体の話もあるんですけれども、病院、医療機関なので、通常の派遣ができないという事があります。そこで産休・育休の方の代替、もしくは紹介予定派遣という形になってしまうので、どちらか該当する条件を満たしていないとそもそも派遣を受け入れないというのが主な理由です。
ドラッグストアにつきましては、数がかなり少ないんですけれども、ドラッグストアと併設している調剤薬局の方で求人をもらうことは多々あります。
ただ、ドラッグストア自体は、登録販売者でもある程度業務がまかなえてしまうという事があります。薬剤師がいないと1類は販売できないですが、それ以外は登録販売者でも可能なので。そういったところで、やっぱり費用面的にも1類置いていないところでは、そもそも薬剤師に高額払うくらいだったら登録販売者のほうが安いのでというふうになりますので、それは自然の流れかなと。
例えばショッピングモールで薬局も運営している企業さんとか、そういうところでも薬剤師の派遣求人は頂いているんですけども、調剤もあって、ドラッグもあって。基本は調剤をやってはもらうんですけど、調剤が来ないときはドラッグもやってもらうというケースが多いです。
次は、非公開求人の割合についてお伺いしたいと思います。やっぱり好条件のお仕事が多いのかなと?思ったんですけれども。
そうですね。好条件のものもありますけれど、どちらかというと特にパートとか、正社員の求人のことが多いのですが、現職の方に見られると自分より高い時給、年収で求人が出ているケースもありまして。するとすでに現場で働かれている方の年収や時給より高い金額が募集要項として提示されていることは不満につながります。それを嫌がってというケースが多いです。
派遣の場合については、そこまで非公開にしていることはないんですが、入れてもすぐ埋まるだろうなというものは、だいたいすぐ埋まるのでといったケースと。あと、マンパワー的に入れられてない部分も若干はあったりします。
あとは、企業内診療所の求人もそうなんですけれど、「ちょっと出さないで欲しい」と言われたりする事もあります。理由がわからなかったんですが、会社名が出るのを嫌がるなどかなと思います。
そういうのがあるんですね。
ええ、いまいち意図が分からず。でも、「出さないで」と言われることが。
あるんですね。
はい。
そうですか。深く追求はしないということですね。
そうですね、そこは。ご興味をお持ちいただけた方にだけ具体的な内容をお伝えするようにしております。
次の質問なのですが、ミスマッチを減らすために、どういったお取り組みをされているのかというのを教えていただけますか。
やはり、お会いするというのが一番のミスマッチ防止になります。実施に薬剤師さんにお会いすることで、どういう方なのかというのがわかる部分もありますので、その上で、派遣先がどういうところで、というところを相談しながらのご紹介になりますね。そこは、単純な年齢層の違いだけとかじゃなくて、性格的なところも含めて、ですね。
そういうところを気にされる方の場合、先方にまず「こういう方で」というのを伝えた上で、大丈夫かどうか聞いたりはしますし、あとは、今まで弊社と取引きのある薬局さんとかだと、もう既に派遣スタッフが行ったことある店舗であれば、その方からどういう職場だったとか、そういうのは聞けたりはしますので、そういったところも参考にしながら、求人と照らし合わせていきます。
あとはご本人とお会いした時により詳しく希望条件を聞くようにしています。面談時によくよく掘り下げて話を聞くと、面談前に伺っていた希望条件と異なるというのはよくある話です。具体的には時給とか場所とか、そういうところだけではなくて、業務内容だとか科目だとか、人員構成とか客層とか。そういうところで希望があるのか、無いのかだとか、どういうところに苦手意識を持っているだとか、そういったところも細かく聞くようにはしていますので、そういったところも含めて判断していくところで、ミスマッチを減らしています。
実際働いてみて、「やっぱりここの職場はちょっと無理です」っていうのもあります?変えてほしいんです、と。
それも稀なんですがやはりあります。でも、そういう場合は、ご本人とも相談して、企業とも相談してという形になります。どうしても人が合わなかったケースもあれば、いわれの無いことで怒られたり、ということもあったり。
もちろんそういう場合には契約している企業の他の店舗での勤務に変えていただくなど、双方の要望を聞いたうえで双方にとって一番いい方法を取れるようにしております。
次なのですが、派遣薬剤師として、どういったスキルを持つ方が歓迎されますか?
1つはその場その場で、現場になじめるようなコミュニケーション力を持っている方です。やはり初めて行く店舗が多いので、そこでしっかり現場の方との関係を築くことができる方ですと、多少のスキル不足だとか、そういったところも補えてしまいますので、そこは1つ大きな要素ですね。
もう1つが、派遣だと投薬業務をお願いされることが多いので、患者に投薬をして、薬歴を記入してという、そこの業務スキルが一定以上あれば、基本的には派遣薬剤師としては活躍できます。
わかりました、ありがとうございます。
次ですね。ちょっと答えづらい部分かもしれないですけど、今後の薬剤師業界の動向、あと、派遣薬剤師のニーズ、これについてどういった予想をされているかというのを教えていただきたいんですけど。
厳しくなるのではと思っています。今年から薬価のマイナス改定がありまして。以前にお伺いをした企業の話だと、今まで同様のやり方だと、関西、関東で50店舗くらいの規模でやっているところなんですけど、計算上では10億くらい売上げが下がるようなことを言われてましたね。
そういう規模のところでも、やはり薬局側の利益が単純に下がるというところと、それに加え、かかりつけ薬剤師制度という1人の患者さんに対して、1人だけ薬剤師が「かかりつけ薬剤師」というふうに設定することができて、それを設定されるとプラスで報酬というか、診療報酬がプラスで何百円かもらえるという制度があります。
その制度が、その薬局で一定期間以上働いているというのも1つの条件にはなるんですけど、あわせて24時間対応する、というところがあります。そこでその仕組みづくりなどで薬局側も結構バタバタしているところもあります。
薬剤師の方からすると、労働時間が増えかねない制度なんですね。プライベートな時間でも対応しなければいけなくなるという。そして薬局の収入、売上げは下がるけれども、薬剤師の労働としては増えそうだというところで、求人的にも今までよりも、年収だとか時給だとか、今後下がっていくのではないかという事を考えております。
そうした状況ですと当然、売上げが下がっているのに、高い金額がかかる派遣求人というのも。やはり数が減っていくのではなかろうか、というふうに見ております。
ジェネリックに切り替えると、割合によると思うんですけど、やっぱり売上げは上がりますよね、薬局としては?
一概に上がるとは言えませんが、基本はそうですね。
そのへんの知識を持っている派遣薬剤師の方というのはやっぱり、ニーズはあるんですか?切り替えに積極的に提案できるとか。薬局によって違うと思うんですけど。
正直、そこまで求められることはかなり少ないです。ただ、ジェネリックの割合が高い薬局さんですと、事前にそれをお話しいただいて、できればジェネリックに慣れている方に来て欲しいということでご依頼いただくこともあります。そういう場合のように、ジェネリックの比率が特に高いところとかだと、事前に薬局側から話はもらえることはあります。
ただ、それを薬剤師の方に求人として提案したときに、薬剤師の方も、普段はジェネリックの比率とかあまり書いていないですから「比率高いんだ、これ私、大丈夫かな」とか、気になる方はむしろ、それを見て避けるようなところはありますね。
ただ、今後求人として依頼いただくことも増えてくる可能性は高いのかなと考えております。
わかりました。次は、単発派遣についてですね。単発派遣を希望される薬剤師さんは、どういった方が多いでしょうか?
※掲載している文章・画像を無断複写・転載することは禁止します。